「葉むら」の暖簾にふれて

第11回

2024.03.15

 お店の看板といえば暖簾ですが、「葉むら」には暖簾以外にも愛着があるものがあります。それは創業以来43年間使い続けている白木のカウンターです。これまで二度の店舗移転があったにもかかわらず、創業当初からずっと使い続けてきている桧のカウンターは、昭和・平成・令和という時代の流れ中で、幾人のお客様をその席にお迎えし、真心込めてもてなしてきた歴史があります。葉山で創業してからずっと通い続けてくださっている御常連の皆様には、43年経った今でもきれいに磨かれたそのカウンターが、白木の姿をしていることに感動を覚えるのではないでしょうか。

 私が知っているのはお店が衣笠に移転してからで、葉山での創業当初の真っ新のカウンターを目にしてはいないのですが、それでも「43年」という年月を聞くととても感慨深いものがあります。なぜなら、43年間その白木のカウンターは店主の揚げる「葉むらの天ぷら」が進化していく様をずっと見届けてきたのですから。

 その天ぷらは、独立して間もない頃のものと今とでは幾分違いがあるのだろうと思います。その違いは店主の関沢氏本人にしか分からないことです。それは関沢氏が「究極の天ぷら」に辿り着くことを目指してひたすら真摯に自身の天ぷらと向き合って精進を重ねてきたからにほかなりません。

 葉むらの歴史が刻まれたカウンターで、暫し至福の時を過ごしてみてはいかがでしょうか。店主が新鮮な旬の天ぷらダネをご用意して、皆様のお越しをお待ちしています。(次回につづく‥‥‥)

(文:立)

注釈:文中で取り扱っているデータ等については、Bing AI(Chat-GPT4搭載)との対話及びネット情報、文献等からの筆者独自の分析によるものです。
参考文献:『天ぷらのサイエンス』(誠文堂新光社, 2022)