第23回
2025.1.7
新年明けまして おめでとうございます。
昨年は、たくさんの方々に葉むらをご利用いただき、ありがとうございました。2025年が皆さまにとって健康で幸せに満ちた一年になりますように、心からお祈り申し上げます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
料理は、味だけでなく見た目もとても大事な要素であるということは広く知られていますが、専門店のカウンターでいただく天ぷらは、天ぷら種一つ、一つ、店主が頃合いを見計らって絶妙のタイミングで天皿に供してくれるので、天丼やお皿に盛り付けられた天ぷらの盛り合わせのように、その見た目の豪華さみたいなものを感じることはできませんが、その分、各々の天ぷら種の個性をしっかりと見た目でも楽しめます。そんなカウンターでいただく個性豊かな天ぷら種の中で、宝石のような天ぷらの種もあります。その代表格といえば翡翠色したそら豆です。鮮やかな緑色は食欲をそそる色でもあります。そんなそら豆について今日はお話ししてみたいと思います。
まず、「そら豆」という名前の由来ですが、中国語で蠶豆(サントウ)と言いますが、これは莢(さや)が蚕(かいこ)の繭(まゆ)に似ているからという説や、蚕(かいこ)が繭(まゆ)を作る頃においしくなる豆という意味で「蚕豆」と名がついただったり、若莢(わかさや)の時に莢が上(空)を向くことから「空豆」と書かれるようになったとも言われています。ちなみに英名は”broad bean”です。
そらまめは、北アフリカや南西アジアが原産地ではないかとされています。そら豆はイタリア語でFava bean(ファーべ)と言いますが、イタリアに伝わったのは紀元前6000年頃だそうで、そこから地中海沿岸地域やヨーロッパ、アジアに広がっていき、中国には紀元前3000年頃に伝わったとされています。これらは先史時代ですから、歴史的資料がないため確証はありません。古代ローマでは、ファーべは主要な食料として広く食べられていたようです。
『羅葡日辞書』や林羅山の『多識篇』にそら豆が出てくることから、日本へは17世紀(江戸時代)の頃に中国をから入って来たと考えられます。そら豆が日本で本格的に栽培が始まったのは、明治時代になってからで、ヨーロッパやアメリカの品種が導入され、試作を重ねるうちに現在の品種の基礎がつくられたそうです。
私が幼少の頃は、そら豆といえば「夏になったら食べられる野菜」という夏野菜でしたが、今は農業技術が発達して一年中食べられる野菜の一つですが、日本での生産量は、温暖な鹿児島県がダントツで全体のおよそ3割ほどが生産されています。世界で見ると中国が最も生産量が多く全体の3割を占めています。やはり中国料理に欠かせない調味料の豆板醤(とうばんじゃん)の原料だからでしょうか…!?
様々な料理に用いられるそら豆ですが、天ぷらにしてもとても美味しい素材です。今月の葉むらでは、奄美大島産のそら豆を使用しますので、ぜひ店主が揚げる色鮮やかな翡翠色のそら豆の天ぷらを食しに、葉むらへ足をお運びいただければと思います。(次回につづく‥‥‥)
(文:立)
注釈:文中で取り扱っているデータ等については、Gemini・Bing AI(Chat-GPT4搭載)との対話及びネット情報、文献等からの筆者独自の分析によるものです。