「葉むら」の暖簾にふれて

第6回

2024.02.14

 カウンターで食するなら、ぜひ葉むらの店主と会話を楽しんでみてください。間違いなく食べる天ぷらの味がレベルアップします。食は味覚だけが反応するものではなく、五感で楽しむものですから、ぜひ出された天ぷらダネについてわからないこと、知りたいことがあれば聞いてみてください。気さくに返答し丁寧に説明してくれます。気候変動の影響からか、近年漁場の環境が大きく変わってきている様で、以前は当たり前のように入荷できていたものが、今では入手困難な希少種になってしまった天ぷらダネも少なくないそうです。そういった話からも、運良く口に出来ている天ぷらだと聞けば、美味しさが倍増するような気がしませんか? 料理には… 特に高級な料理、希少性の高い食材を使ったものであればあるほど、そこにストーリー(物語)が乗っかってくれば、より一層味わい深いものになっていくように思います。

 カウンター席が満席の場合は、なかなか店主に話しかけづらいかもしれません。それは、店主がお客様一人一人の食の進み方を見計らって、次の天種を揚げてタイミングよくお出ししているので、そこに神経を集中させているからに他なりません。が、他のお客様の食事状況と店主の様子を見ていると、話せるタイミングはなんとなくわかります。残念ながらコロナ禍以降、店主はマスクをして天ぷらを揚げているので、関沢氏のやさしい笑顔をしっかり見ることはできないかもしれませんが、とても温厚で、天ぷら談義は楽しめる事うけあいです。

 一つ、気をつけたいのは、カウンターでの作法は「黙して揚げたてを食す」です。なので、店主が絶妙のタイミングで揚げて目の前の天皿に置いてくれます。その熱々の揚げたてを召し上がってから、話かけるようにしましょう。

 カウンター席に座ったなら、是非、店主の関沢氏との会話も楽しんでほしいと思います。(次回につづく‥‥‥)

(文:立)

注釈:文中で取り扱っているデータ等については、Bing AI(Chat-GPT4搭載)との対話及びネット情報、文献等からの筆者独自の分析によるものです。
参考文献:『天ぷらのサイエンス』(誠文堂新光社, 2022)