
第32回
2025.10.1
10月を迎え青空に浮かぶ雲も秋らしい模様になりましたが皆さんはいかがお過ごしでしょうか。暑い暑い猛暑日続きの夏が幻であったかのように、気温も下がり秋の涼を感じられるようになりました。朝晩は秋風に少し肌寒さを感じる日もあり、また時折虫の鳴く声も聞こえてくる季節になり、秋がゆっくりと深まっていくのを肌で感じている今日この頃です。
さて、季節いよいよ秋本番を迎え、この時期ならではの旬の食材が目白押しですが、その中から茸の中でも天ぷらにするとよりいっそう美味しい「舞茸」を取り上げてお話させていただこうと思います。
舞茸は、香りと旨味が強く、加熱しても歯ごたえが残るのが魅力な食材で、炒め物、鍋、天ぷら、炊き込みご飯、パスタなど幅広い調理ができる食材なので、皆さんもよく口しているキノコなのではないでしょうか。
舞茸の食用の歴史は古いようですが、明確な記録は少ないものの、江戸時代以前から東北地方などでは天然の舞茸が食されていたと推測されています。特に東北の山間部では、舞茸は「幻のキノコ」として珍重され、将軍への献上品として扱われたという逸話も残っています。江戸時代には一部の大名が舞茸を幕府に献上した記録があり、その美味しさと希少性から高い価値があったとされています。採取した舞茸の重さと同じ銀が与えられたという話もあり、舞茸の価値の高さがうかがえます。
舞茸(まいたけ)は、古くから東北地方を中心に食用として親しまれてきました。日本をはじめとする温帯地域に自生する食用キノコなのですが、私たちが口にする舞茸は人工栽培のものがほとんどです。というのも、天然の舞茸は非常に希少なキノコで、「見つけると舞うほど嬉しい」ことから「舞茸」と呼ばれるようになったとの説もあるほど。そんな希少な天然舞茸の採取地は、ブナやミズナラの広葉樹林帯で、東北地方(秋田県・岩手県・青森県)、特に八幡平(はちまんたい)や白神山地などは、天然キノコ採りの名所だそうです。新潟県の山間部や長野県・群馬県の標高の高い山林に自生するようです。天然舞茸は香り・旨味・歯ごたえが格別で、栽培品とは一線を画す美味しさがあるそうなので、死ぬまでに一度は食してみたいものですが…。
そんな天然の舞茸は希少で、かつては「幻のキノコ」とも呼ばれていたものが、1970年代に人工栽培が成功したおかげで、現在では全国的に広く流通しており、私たちの日常でもスーパーなどで気軽に購入することができるようになっているのは、とても有難いことです。
そして、舞茸は食して美味しいだけでなく、栄養価の高い食材でもあります。免疫力を高め、がん細胞の増殖を抑える働きがあるとされるβ-グルカン、カルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫にしてくれるビタミンD、代謝や血行促進に役立つナイアシン・亜鉛、そして便秘予防や腸内環境の改善に効果的な食物繊維が豊富です。
キノコは水分を多く含む食材で、もちろん舞茸も例外にもれず水分量は多いことから、やはり天ぷらを揚げるのは難しい食材ではないでしょうか。そんな舞茸を絶妙の揚げ加減で楽しませてくれるのが「葉むらの天ぷら」です。ぜひ葉むらで、旬の舞茸の天ぷらを味わってみてください。
(次回につづく‥‥‥)
(文:立)
注釈:文中で取り扱っているデータ等については、Gemini・Bing AI(Chat-GPT4搭載)との対話及びネット情報、文献等からの筆者独自の分析によるものです。