第25回
2025.3.2

梅が見頃になってきました。この日は陽光に照らされた梅の木の天辺で2羽のメジロが楽しそうにさえずっていました。
3月は桃の節句です。雛祭りに欠かせないの蛤のお吸い物ですが、その蛤は天ぷら種としても絶品です。が、それ以外にもこの時期ならでは旬の食材というものがたくさんあります。
雪間より薄紫の芽独活哉
(ゆきまより うすむらさきの めうどかな)
これは芭蕉(松尾芭蕉,1644-1694)が、独活が雪の間から早くも芽を出している。 春を見つけた素直な嘱目(しょくもく)の句です。春の訪れとともに山菜の種類も増えて来ますが、今回は山ウド(山独活:ヤマウド)について少し触れてみようと思います。
私個人としてはどうも諺の「うどの大木」というイメージを独活に対しては持っているのですが、実際には「ウド」という植物は大きくなっても木質化はせず、茎のままで「大木」のようにはならない植物です。先人はなぜ「大木」という語で表現してしまったのかと、この歳になっても疑問が払拭できないのですが…。
さて、ウドにはいくつか種類があり、山菜として利用される山ウドは、日本の山野にも自生しているウコギ科(セリ科の近縁)のウドで多年草です。草丈は一般的には1~2m程度にになるようです。大きいものはそれ以上にもなるそうです。
栄養についてですが、決して栄養価が高い食材ではないようです。山ウドは、軟白ウド(暗い所で、光を当てずに栽培される真っ白なウド)に比べ、カリウムの含有量がやや多いですが、その他のビタミンやミネラル、タンパク質、脂質、炭水化物の量に大きな差はないそうです。山ウドは春に旬を迎える低カロリーの山菜ということが言えそうです。
日本のウド栽培の歴史を見てみると、江戸時代初期の書かれた農書とも言われる軍記物『清良記』(1654年頃)や、当時の農業技術をまとめた『農業全書』(1697年)には、ウドの栽培に関する記述があり、17世紀には広く栽培が行われていたことがわかります。
「貴賎皆このみ用ゆるものなれば、都近き所、又諸国の国都など、大邑ある近方にて、山野の余地あらば、多く作り立てゝ市中に出すべし」 (宮崎安貞『農業全書』1697年)
訳:身分の高いものも低いものもみな好んで食すので、都の近くや諸国の国都など、大都市の近くでは、土地に余裕があればたくさん作って街に売るとよい。
冒頭の芭蕉の句は、天然の山ウドではなく、栽培ものの山ウドの様子を詠んだ句かもしれません!?
葉むらで提供する山ウドは、地面から7〜8センチ出たものを一本揚げしてご提供します。ぜひ旬の山菜の味をご堪能ください。
(次回につづく‥‥‥)
(文:立)
注釈:文中で取り扱っているデータ等については、Gemini・Bing AI(Chat-GPT4搭載)との対話及びネット情報、文献等からの筆者独自の分析によるものです。