「葉むら」の暖簾にふれて

「葉むら」の暖簾にふれて
「葉むら」の暖簾にふれて

 日本人は老若男女問わず天ぷらを好んで食しますが、日本全国には幾つぐらい天ぷら屋が在るのでしょうか?
 ある有名どころの全国飲食店検索サイトに登録されている日本全国の天ぷら屋の件数は2312軒(2024年1月1日現在)あるようです。飲食店検索サイトは全国展開しているものもあれば、地域に限定したローカルなものも数多く存在しますし、そういった情報サイトにすべての店舗がサイト登録されているとは限りませんので、実際の軒数を知ることは困難を極めます。さらに天ぷら専門店でなくとも、同等の美味しい天ぷらを提供してくれる日本料理店もあれば蕎麦屋や定食屋のような飲食店もあるので、天ぷらを食せる店となると日本全国で相当数存在していることが容易に推測できます。これは天ぷらが日本人に愛される日本の伝統的な料理の1つであり、その美味しさを楽しむことができる店舗が全国津津浦浦まで存在していることを意味しています。「天ぷら」という料理は、日本の食文化の豊かさを示していると言えるのではないでしょうか。

 そんな日本人にこよなく愛される天ぷらですが、天ぷら屋の軒数が多い都道府県はどこでしょうか?
 同じ全国飲食店検索サイトのデータでは、東京都にある天ぷらの店は513軒、大阪府にある天ぷらの店は235軒、愛知県にある天ぷらの店は148軒、京都府にある天ぷらの店は74軒で、東京都がダントツです。もっとも東京都は1410万人という人口を抱える大都市ですから、飲食店の軒数も東京都が一番多いのは当然といえば当然の結果ではあります。
 そこで都道府県別の人口比で見てみると、東京都はおよそ6千人当たりに1軒天ぷら屋が在ることになりますが、他県では数万人に対して1軒という割合です。たとえば京都でもおよそ1万8千人に対して1軒ですから、東京都の3分の1の割合でしか天ぷら屋が存在しないということになります。これは現在に至っても東京に天ぷらの店を構える人が多く、それは江戸期よりずっと江戸前天ぷらの文化が今日まで継承されてきていることの証しではないでしょうか。
 このように天ぷら屋の軒数ひとつとってみても、天ぷらが江戸の庶民が好んで食したものだったことを知ることができ、それは天ぷらが単に「天ぷら」と呼ばれるのではなく、「江戸前天ぷら」と呼ばれる所以なのかもしれません。もちろん、単に人口に対する店舗軒数の比率だけで全てを判断することはできませんが‥‥‥。

 ちなみに「江戸前天婦羅 葉むら」がある神奈川県についてはどうでしょうか。神奈川県の天ぷら屋の軒数は235軒です。神奈川県の人口は約922万人ですから、およそ8万4千人に1軒の割合と京都に比べて天ぷら屋の店舗数はかなり少ないと言えます。東京都と比べると14分の1と隣県であるにもかかわらず、神奈川県下では人口1人当たりの天ぷら専門店がかなり少ないことが分かります。
 そんな数少ない中でも、ミシュランの星を獲得するほどの美味しい名店「葉むら」があります。是非、機会をみつけて足を運んでいただきたいものです。
(次回につづく‥‥‥)

(文:立)

注釈:文中で取り扱っているデータ等については、Bing AI(Chat-GPT4搭載)との対話及びネット情報、文献等からの筆者独自の分析によるものです。